大高宏雄の「日本映画界」最前線
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たけし独立&社長離脱でどうなる「世界の北野映画」の今後
ビートたけしが、所属のオフィス北野を離れ独立すると報じられた件。背景にはいろいろな理由があり、芸能界への影響は計り知れないが、筆者が第一に感じたのは映画のことだ。周知のように、彼はこれまで北野武名義…
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国内興行上位にランクイン レベル向上際立つ「米映画」
今年に入って米映画のレベルアップが著しいと感じる。それは、これまでのおなじみの題材や物語から脱却しようと、さまざまに工夫を凝らした新しいスタイルの作品が多いからだ。先週も全国公開規模の新作3作品が公…
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「俳優・大杉漣」はなぜ多くの人から愛されたのか?
大杉漣さんの訃報には驚いた。突然の逝去だったこともあるが、マスコミはじめネットやSNSなどでも膨大な量の追悼の言葉があふれていたことにさらに驚いた。とくに目を見張ったのが、世代を超えた一般の方々の大…
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吹越満 「顔色の悪い」疲れ切った中年男をリアルに好演
老若男女に関係なく、今の時代にとても響く映画が、K's Cinema(東京・新宿)で公開されている。AV女優と彼女らを取材するルポライターを描いた「名前のない女たち~うそつき女~」である。介護現場の…
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川地民夫さん 代表作「狂熱の季節」で魅せたあらくれ姿
日活などで活躍した映画俳優の川地民夫さんが10日、脳梗塞のため亡くなった。享年79。最期まで酒とたばこを手放さなかったという。昭和の映画スターの豪快な生きざまを見る思いがした。 1958年、…
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見るべきは「ドキュメンタリーの巨匠・柳澤寿男」作品
ちょっと驚くような邦画の旧作上映が、都内の名画座「シネマヴェーラ渋谷」で先週から始まった。柳澤寿男というドキュメンタリー監督の作品上映である。チラシにはドキュメンタリーの“巨匠”とあった。 …
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阿部寛の最新主演作 見どころは「砂の器」的親子の逃避行
阿部寛主演の「祈りの幕が下りる時」が面白かった。2010年に放送された日曜劇場「新参者」(TBS系)が好評を得てシリーズ化された作品の6年ぶり、2作目の劇場版だ。 同シリーズは東京・日本橋を…
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マンガ原作頼み邦画に一石 長澤まさみ最新作の挑戦的手法
長澤まさみ主演の「嘘を愛する女」が公開されている。04年の「世界の中心で、愛をさけぶ」以来となる長澤と高橋一生の共演も話題だが、最終で興収10億円に届くかどうか。やや物足りない数字だが、この作品は中…
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日本アカデミー賞 「大手配給会社ばかり」の摩訶不思議
第41回日本アカデミー賞の各優秀賞が今週、発表された。いずれも事実上のノミネートであり、最優秀賞は3月2日に明らかになるのだが、優秀賞のリストを見て、正直驚いた。大手配給会社の作品関連が揃いも揃って…
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貝山知弘氏死去 70年代前半の東宝支えた名プロデューサー
映画プロデューサーとして活躍した貝山知弘氏が1月7日、亡くなった。享年84。映画業界では「南極物語」(1983年)の製作者として知られるが、一般には馴染みは薄いと思う。ただ筆者にとっては忘れられない…
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深水三章さん死去 日活ロマンポルノで魅せた荒ぶる魂
俳優の深水三章さんが亡くなった。享年70。年末の12月30日、自宅前で虚血性心不全で倒れたという。多くのドラマに出演し、ちょっとコワモテの個性的な風貌と渋い演技が魅力的だった。 訃報では、今…
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大高宏雄氏が選出 年末恒例「2017年邦画&洋画」トップ3
年末ほぼ恒例、筆者が選んだ今年の邦画・洋画ベスト3を挙げる。 ▽邦画 ①「家族はつらいよ2」 ②「武曲 MUKOKU」 ③「奥田民生になりたいボーイと出会う男すべて狂わせるガール」 …
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観客の評価は…スター・ウォーズ最新作に賛否両論のナゼ
「スター・ウォーズ」シリーズが正月興行の定番になってきた。上映中の「スター・ウォーズ/最後のジェダイ」を含め、3年連続で正月作品を続けている。興収も高く、16年は116億円、17年のスピンオフ作品は4…
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王道に匹敵 「こつまなんきん」女優・瑳峨三智子を再評価
往年の映画会社「大映」の女優特集上映が先週から都内・新宿で行われている。京マチ子、山本富士子、若尾文子といった映画史に名を残すそうそうたる面々の作品上映だ。彼女らは日本映画界の王道を進んだ女優であり…
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昨年より150億円減 映画興収伸び悩み要因は邦画実写にあり
2017年の映画興行は昨年実績を下回る。当然といえば当然だろう。今年は、昨年の「君の名は。」のようなメガヒット作品がなかったのだから。おそらく年間興収は2200億円台の前半あたりだろうか。昨年より約…
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2017年日本映画の顔 新境地の菅田将暉が“映画賞総ナメ”か
今年の日本映画の「顔」といっていい。菅田将暉のことである。出演作品は5本、そのうち4本で主演を張った。NHK大河ドラマ「おんな城主 直虎」では完全に終盤の主役となっている。 昨年も菅田の活躍…
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「ガラスの部屋」 伊俳優レイモンド・ラブロック逝去
ちょっとした衝撃だ。イタリア出身の俳優、レイ・ラブロックさん(かつては、レイモンド・ラブロック名義で活躍)が、11月10日に亡くなったのだ。享年67。多くの人が知らないと思うが、日本で一世風靡した「…
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トランプ発言に一石を投じた映画人・吉永小百合の発信力
この1週間、イバンカ米大統領補佐官やトランプ米大統領の来日狂騒曲に終始した。その間、日本の尋常ではない歓待ぶりばかりが報じられたが、その“裏”ではとても重要なことがあった。女優の吉永小百合が、トラン…
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宮崎駿監督の“復活”で邦画アニメ界は大変なことになる
宮崎駿監督の新作アニメーションのタイトルが明らかになった。「君たちはどう生きるか」。中身は分からないが、人生指南書のようである。いかにも宮崎監督らしい。いまの日本のありように相当根深い危機感を覚えて…
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「ミックス。」「斉木楠雄のψ難」でコメディエンヌ競演
コメディエンヌとは、簡単にいえば喜劇女優の意味だが、今回はコメディー映画の中で、喜劇的な役柄を演じることに長けた女優としよう。先週公開された日本映画で3人のコメディエンヌが珍しく激突、競演しているの…