大高宏雄の「日本映画界」最前線
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元SMAP3人衆 香取・稲垣・草彅の映画で「クソ」はマズい
ジャニーズ事務所を退所した元SMAPの稲垣吾郎、草彅剛、香取慎吾が映画製作に入るという。彼らの公式サイトが発表した。厳しい岐路に立つ3人なので、何とか成功してほしいと思うが、映画の中身以前にタイトル…
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映画「アウトレイジ最終章」 塩見三省は一世一代の力演だ
北野武監督の新作「アウトレイジ 最終章」が先週公開となり、ヒットスタートを切った。2012年公開の前作「アウトレイジ ビヨンド」(最終興収14億5000万円)を超える可能性が高い。北野監督の暴力映画…
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イオンが映画製作・配給に着手…業界の勢力図が変わる?
流通大手のイオンが畑違いの邦画の製作、配給に乗り出す――といったら多くの諸兄は驚かれるだろうが、本当だ。 イオンは傘下のイオンエンターテイメントが、シネコン展開で国内最多のスクリーン数を誇り…
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久々ヒット 韓国映画「新感染」はリアル鉄道を使って撮影
これは驚いた。公開4週目の作品にして、シネコンの比較的大きなスクリーンが8割がた観客で埋まっているではないか。先週の土曜日のことだ。場所は都内・新宿ピカデリー。映画は韓国ムービーの「新感染 ファイナ…
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ベネチアよりトロント 「国際映画祭」市場に異変あり
ベネチア国際映画祭が9日(現地時間)に閉幕した。邦画の受賞はなかったこともあり、マスコミの注目度は低かったようだが、この時期の映画業界の「目」は、同映画祭の直後に開催されるカナダのトロント国際映画祭…
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東宝に次ぐ邦画“メジャー”になったワーナー・ブラザース
この夏興行、邦画でもっとも成績が良かったのは「銀魂」だった。興収は40億円近くまで伸びる。ところで、この作品の製作、配給はワーナー・ブラザース映画だ。れっきとした米国のメジャースタジオの「日本支社」…
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「日劇」閉館の一方で…「TOHOシャンテ」は存続の朗報
先週、戦前から知られる「日劇」の名を冠したTOHOシネマズ日劇の閉館日(来年2月上旬)が明らかになったが、それ以上に重要な発表があった。東京・日比谷シャンテ近隣に位置するTOHOシネマズシャンテの存…
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大ヒットの「関ヶ原」 従来の時代劇にはない仕掛けの数々
「関ケ原」が大ヒットである。最終で興収30億円超えの可能性も出ている。岡田准一扮する石田三成が主役。上映時間は約2時間30分と長いが、退屈はしない。それは、本作がこれまでの時代劇に風穴を開けようとさま…
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理屈抜きでスカッとする 傑作「ベイビー・ドライバー」
何とも生きのいい映画が登場した。先週公開された米映画「ベイビー・ドライバー」である。理屈抜き、スカッとすること請け合いの傑作といっていい。見れば、処暑を迎えても暑さが続く夏を難なく乗り切れるのではな…
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川口小枝ファン必見 1日限りの「白昼の惨殺」追悼上映
東京国立近代美術館フィルムセンター(中央区京橋)が、15年から16年にかけて亡くなった映画人の特集上映「逝ける映画人を偲んで2015―2016」を行っている。有名な俳優や監督個人にスポットを当てた追…
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日活ロマンポルノの「祖」西村監督は性描写の職人だった
日活出身で数多くの作品を世に送り出してきた西村昭五郎監督が今月1日、逝去した。享年87。日活時代には石原裕次郎、吉永小百合、渡哲也らの作品を手がけたが、筆者が思い出深いのは、ロマンポルノだ。1971…
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興収30億円超えが6作品…夏興行の好調要因は「コト消費」
8月に入り、夏興行が活況を見せてきた。ヒット作も豊富で「銀魂」はじめ、興収30億円を超えそうな作品が現時点で6本。今後もさらに増えそうだ。上半期に続いて、映画界は好調をキープしている。 大作…
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三国連太郎と佐藤浩市のDNAを受け継ぐ若手俳優「寛一郎」
俳優とは、何とも不思議で奥の深いものだと改めて実感した。先週公開された人気アニメーションの実写版「心が叫びたがってるんだ。」を見たときのことである。 男女2人ずつの高校生4人組の物語。そのう…
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3.11から6年…震災経験者の心象風景を描いた良作
東日本大震災から6年以上が経つ。今年、当欄で原発事故に遭った日本人妊婦を描く韓国映画「STOP」を紹介したが、日本の映画人も黙ってはいない。久しぶりに震災を題材にした作品が登場した。先週から公開され…
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17年上半期 洋画健闘の裏で伸び悩む邦画実写のマンネリ化
映画界は好調を維持している。今年上半期の興収は、昨年同期比で10%前後上回ったとみられる。昨年は年間で2355億円を記録して過去最高だったが、折り返しを迎えた現在、昨年の同時期の成績を上回るペースで…
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ディズニーに頼らずとも支持される「パイレーツ」最新作
映画界をディズニー映画が席巻している。ロングランの「美女と野獣」が、すでに興収120億円を突破し、洋画の歴代12位。もちろん、今年最高の成績だ。今月1日から公開された「パイレーツ・オブ・カリビアン …
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R+15で一般劇場公開 新機軸を打ち出す「大蔵ピンク」
ピンク映画の老舗、大蔵映画が今年3回目となる特別上映を行う。「OP PICTURES+フェス2017」と銘打ち、全13本を通常のピンク映画館ではなく一般劇場で上映し、より広い層に観賞してもらうことを…
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脚本家団体が「共謀罪」反対表明に踏み切ったワケ
共謀罪の“強行採決”を受け、映画の製作関係者が危機感を持ち始めている。当然だと思う。「表現の自由」が脅かされる恐れがあるからだ。先週、日本シナリオ作家協会が法案に対する反対の声明を出した。 …
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「名熟女優」高千穂ひづるさんが遺した色香な功績
宝塚出身で東映や松竹で活躍した女優の高千穂ひづるさんが逝去していたことを、先週ネットで知って驚いた。しかも、亡くなったのは昨年の2月だという。悲しくなるのと同時に、往年の彼女の姿がまぶたの裏に浮かん…
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橋爪功主演「家族はつらいよ2」に笑い転げ涙してしまった
公開中の「家族はつらいよ2」が素晴らしい出来栄えである。前作の「家族はつらいよ」(16年)も良かったが、それをはるかに上回るグレードの高さだ。御年85歳の山田洋次監督は、映画と心中しかねないほどの強…