「ざんねんないきもの事典」今泉忠明監修
生き物の進化に正解はなく、生き残れるかどうかは、実は運しだい。本書は、はたから見たら「ざんねん」な感じのする生き物たちを紹介しながら、そんな進化の不思議を伝える面白本。
雪のように白いホッキョクグマだが、その毛の下の肌はつやのない黒だそうだ。太陽の熱を吸収できるように黒くなったと考えられているという。
一方、スズメバチが捕まえた昆虫で作る肉団子は、幼虫専用の食べ物で、成虫が食べるのは幼虫が口から出すどろどろとした液体だけ。成虫は毒針がついたおしりを自在に動かせるよう胸とお腹の間が異常にくびれているため、固形物が食べられないのだ。全122種の生き物たちの、そんな生態や不便そうな体、意味のなさそうな能力に思わずニヤニヤ。(高橋書店 900円+税)