「シモネッタのどこまでいっても男と女」田丸公美子著
イタリア語会議通訳の著者が、家族を俎上(そじょう)に載せ男女の機微についてつづったエッセー集。
まずは、これまで秘してきた夫とのなれそめを開陳。その理由は暑かったからだという。15歳も年上でバツイチの夫は、大学卒業後にビジネスレターの翻訳に週1回通っていた会社の上司だった。夏、暑さで体を壊した著者を見舞い、病院に連れていってくれた彼は、風呂もクーラーもない部屋に帰すのをちゅうちょしたのか、そのまま自宅マンションにお持ち帰り。1週間後、クーラーなしで生きていけなくなった著者は、以後、彼の部屋を避暑地にするようになったという。
結婚後の夫の破天荒な暮らしぶり、自らの恋愛遍歴、そして波瀾万丈の父母の人生など、軽快なタッチでつづる爆笑家族情話。(講談社 640円+税)