「彼女の名前は」チョ・ナムジュ著、小山内園子、すんみ訳
「彼女の名前は」チョ・ナムジュ著、小山内園子、すんみ訳
さまざまな女性たちへのインタビューをもとにした小説で韓国女性たちの「今」を描く短編集。
妹の結婚式は、粛々と進み、新郎新婦の前に座る母は涙をぬぐう。「私」はその涙の半分以上は自分が理由だと分かっている。私の離婚が成立したのだ。初めて夫婦げんかしたのは、新婚旅行から帰ってきて夫の実家へ挨拶に行った日だった。そのまま、夫の実家から伯父の家に連れていかれた私は、見知らぬ親族だという人に飲めない酒を飲まされ、歌を歌わされた。以来、義理の両親にたびたび呼び出され、料理を作り、行事を手伝い、看病し、家事を手伝ってきた。(「離婚日記」)
対になる「結婚日記」やセクハラ上司と戦う公務員を描く「二番目の人」など、28人の物語は、全女性の物語でもある。 (筑摩書房 946円)