<第1回>ひと言でいうと“へたくそ”なんですよ、生き方が
文壇でも活躍する芸能人の先駆け的存在だ。NHK朝ドラ「北の家族」(73年)のヒロイン役に抜擢され、82年に発表した「通りゃんせ」で女優初の芥川賞候補になった高橋洋子(63)。今年3月に28年ぶりの映画「八重子のハミング」の撮影に挑み、4月には13年ぶりの新作小説「のっぴき庵」(講談社)を上梓した。再始動する前はどのような生活を送っていたのだろうか。
「結婚して、子育てして、ママ友とお茶して。ごく普通の主婦の生活を送っていました。その間、新聞連載をしたり、『俳句王国』(NHK)に出演したりしましたが、人生の転機ともいえる大きな出来事といえば、競馬。42歳の時にひょんなことからJRAが主催する女性限定の観覧パーティーにお招きいただいて、ビギナーズラックでダンスパートナーという馬を当ててしまったもんだから、さあ、大変。無類の競馬好きだった父の血を受け継いでいるんですね。凱旋門賞まで遠征したり、今では欠かせないライフワークのひとつになってしまった(笑い)」
■イメージをこしらえる前に小説を書いちゃった
映画「旅の重さ」(72年、斎藤耕一監督)の主役オーディションを勝ち抜き、役者デビュー。80年代後半まで多くの映画やドラマに出演し、処女小説「雨が好き」(81年)で中央公論新人賞を受賞。俳優と作家活動を両立していたが、2000年代ごろから俳優としてはだんだん表舞台から姿を消すことに。