【追悼】酒井くにおさん 舞台でヘベレケになった弟とおるを担いで帰った
兄が弟に向かって「とおるちゃん」と呼びかけるギャグで知られる漫才師、酒井くにお・とおるの兄くにおさん(写真右)が虚血性心疾患のため、10月28日に亡くなったことが11月7日に発表された。74歳だった。
「とおるちゃん」のギャグがどうして生まれたかを本紙が聞いたのは6年ほど前のこと。「不思議なもんで、寝んと一生懸命考えて『これはウケる』って確信したネタが当たるとは限りません。滑る方が多いくらいです」と、くにおさんが語ってくれた誕生秘話はこうだった。
酒井兄弟は吉本興業との契約が74年に切れて松竹芸能に移った。
「それまでポンポンとボケとツッコミしてたのに、なぜか頭の中からセリフが抜けたんです。さあ困った。何か言わないと、どないしよって思ってたらとっさに出たのが『とおるちゃん!』。切羽詰まった言い方とか、間がよかったんやろね、それが意外とウケた」
そして少しアレンジを加えた。「セリフを忘れたふりをして『教えて』とボケて、とおるが『イヤだ』と返すとか、日舞風の踊りでゴマカすとか……」、さらに「ウチらの漫才、2つか3つしか笑うとこないから、みなさん笑う努力して」「ここで笑わないと、もう笑うとこないよ」という自虐ネタも。