肝臓がん<3>4度目も新しいカテーテルで切り抜けた
しかし、ここで問題が起こった。肝臓内の動脈が細く曲がりくねっているためカテーテルが通らない。担当医は経験や技術も豊富で信頼できる医師だったが、2時間も奮闘してついに治療を断念した。担当医からは「最初に手術を受けた病院(日大板橋病院)に戻って再手術を受けてはどうか」と勧められたが、断った。
それから1週間後、その医師がたまたま参加した医学学会で、偶然にも新しいカテーテルを見つけた。それは、カテーテルをある一定のところまで進めて、先端に装着した風船のようなものを破裂させる。破裂したその勢いで抗がん剤を肝細胞の病巣に投入させる方法らしい。
しかも、今回は前回と違う柔らかいカテーテルを使い、曲がりくねった難しい動脈内を通過させて治療に成功した。
後日談になるが、同病院の担当医は、石川さんの治療成功を喜び、以来、他の患者にもこのカテーテルを使用しているという。
ちなみに、先に利用したカテーテルには不具合があり、メーカーはほどなく回収した。