コロナ後遺症の強い疲労感は「首」に原因あり 専門家が指摘
「瞳孔を閉める神経が副交感神経で、重症例では副交感神経が正常に働いていないため、光を当てても瞳孔が収縮しません。ME/CFSと診断されている患者さんは頚部筋群の間を通る副交感神経の異常でさまざまな症状が生じていることが改めて確認できた。つまり、頚部への低周波電気刺激療法と遠赤外線照射によって、副交感神経の働きが正常に戻り、症状改善が確実に期待できるのです」(松井医師)
この研究では改善例は55・5%、非改善例45・5%だったが、松井医師によると「この数字は、治療を始めたが最後までやっていない患者さんや、医師の指示を守れない患者さんも含んでいる。実際の治療では、2~3カ月間の入院で、毎日午前、午後の2回、低周波電気刺激療法や遠赤外線による温熱療法、症例によっては薬や点滴療法を行い、85%ほどの患者さんが良くなっています」とのことだ。
44歳の女性は、ひどい倦怠感、頭痛、目まい、動悸、うつ、吐き気、便秘、下痢など27もの症状と、首や肩の凝りがあり、あらゆる医療機関を受診したが、治らなかった。ネットで見た松井病院に連絡し、松井医師の診察を受け、入院して治療を受けた。入院期間は4カ月に及んだが、27の症状すべてが消えた。
入院期間は長いものの、その効果は大きい。なお松井医師によれば、ME/CFSは心療内科では適応障害と診断されることも多いという。
頚部への治療は基本的には保険適用だ。