秘密を共有する男との不倫に沼った34歳主婦「映画のヒロイン」気分から地獄に突き落とされ…【婚外恋愛を謳歌する男女】
これまでのあらすじ
【不倫依存~婚外恋愛を謳歌する男女】
共通の知人の葬儀で再会した男性と不倫に発展した春美さん(34歳主婦/子供アリ)。お相手は、春美さんがOL時代にスナックでアルバイトをしていた時のお客様・弘道さん(49歳外資系半導体メーカー/既婚・子供アリ)だ。
彼の上司の葬儀で5年ぶりに会い、婚外恋愛へと進んだ。故人が繋いだ不思議な縁に、春美さんは女を取り戻して…。
気になる続きの前に、第1話はコチラからお読みいただけます。
不倫関係になって生活が一変
春美さんは語る。
「弘道さんと不倫関係になって、私の生活は一変しました。朝起きるのが楽しみでならないんです。
彼は朝5時半時に起きて海外とのメールチェックをし、自宅近くのジムでトレーニング後に出勤するのがルーティンになっています。その際、毎朝「おはよう」のメッセージをくれるんです。LINEではなく、FBのメッセンジャーですね。
これがとても嬉しくて…。『おはよう。今日も頑張って♡』と胸をときめかせながら返信するのが幸せで…。私はFBのアカウントだけはあったものの、ほとんど未使用。でも、彼との交際をきっかけに使うようになりました。
おかげで朝の支度や、幼稚園に通う息子のお見送りも上機嫌でできるようになって(笑)。もちろん、夫に気付かれないことは必須。読んだメールはすぐに削除します。
海外出張の多い弘道さんは『来週は米国に一週間の出張なんだ。帰国したら逢おう』『春美さんとの時間が待ち遠しい』など、スケジュールや愛の言葉を綴ってくれました。
家族には申し訳ないと感じつつも、ダイエットのためジョギングを始めたり、ヘアメイクにも気を遣うようになったんです」
春美さんは続ける。
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お姫様のように扱ってくれる喜び
「彼との逢瀬は外資系ホテルが多かったですね。愛車のSAABで近所まで迎えに来てくれる時もありましたが、人目もあるので、部屋番号を教えてもらい、時間差で行きたいとお願いしました。
食事は豪華なルームサービスです。毎回、お姫様のように扱ってくれることが嬉しかったですね。ある時『逢えない時はこれを着けて、僕を思い出して』と、ハイブランドのパールのピアスとネックレスをくれたんです。
高級品ですが、主婦の私がつけても決して派手にならない控えめなデザイン。そして、クリスマスの前には『ちょっと早いクリスマスプレゼント』と、スイートルームをリザーブし、クローゼットに案内されました」
弘道さんに促され、春美さんがクローゼットのドアを開けると、目を見張った。春美さんの好きな色…ロイヤルブルーのワンピースやブラウス、プリーツスカート、ニット、ワイドパンツなど、同一ブランドで着回しできるアイテムがずらりとハンガーにかかっている。
「君に似合いそうだから、海外で買ってきた」と笑う彼に、春美さんは「まるで映画のヒロイン…」と、喜びのため息をついたという。
SNSには二か国語で有能なエグゼクティブの日常が
春美さんは続ける。
「ただ、困ったこともありました。母が私の変化を見抜いたんです。デートのたび、幼稚園に通う息子のお迎えを近所に住む両親に頼んだのですが、母に『最近、外出が多いけど、どうしたの?』と訝しがられて…。
『OL時代の友人からの相談事』とか『ママ友が子育てで悩んでいるようで…』などと言い訳したのですが、女の勘には気をつけなくちゃと思いました」
弘道さんはシリコンバレーにあるサニーベールという都市に行くことが多かったという。
「出張中、彼はたくさんの写真を送ってくれました。『こっちのステーキはビッグサイズだよ。でも固い(笑)』とか『会食ディナーのデザートは、なんとフルートグラスに入れた綿あめ! 日本人の僕らを気遣ってくれたのかな? 微妙』などとユーモアたっぷりに。そしてFBにアップされた彼の投稿が素晴らしいんです」
弘道さんのSNSの投稿は常に日本語と英語の二か国語。海外からのコメントも多い。画像は海外スタッフとのビジネスや会食風景、パーティ、ゴルフなど、まさに有能なエグゼクティブの日常。スナック時代には知りえなかった一面を知ることとなる。
秘密が絆に
喜びを隠せない一方で、春美さんは寂し気に視線を落とした。
「有能な彼と特別な関係になっている嬉しさと裏腹に、複雑な思いもありました。彼の周囲には優秀で美しい女性が大勢いるんです。平凡な主婦の私とはあまりにも世界が違いすぎて、気後れするばかりで…。
FBの『友達一覧』も国内外問わずキャリア女性やセレブな美女も多く、尻込みしてしまいます」
そんな時、春美を勇気付けたのは自死したFさんの存在だ。
「不謹慎ですが、婚外恋愛のきっかけとなったFさんの死が思い出されました。Fさんの死因は『くも膜下出血』ということになっていますが、本当は自死です。その事実は限られた人しか知りません。
弘道さんとは秘密を共有し、同じ痛みを分かち合える絆めいたものがあり、それが唯一私の心を支えていました。彼自身も、時おりFさんの死を悔やみ、私が慰めることもありました」
違う女性の名前が
不倫に沼ってしまった春美さんは、月に2度ほど逢瀬を重ねていた。『愛してる』『早く逢いたい』と情熱的なメッセージが来たら、同じように『私も弘道さんを愛してる。逢いたくてたまらない』と素直な気持ちを綴った。
不倫関係が4カ月ほど経ったときだろうか、春美さんはメッセージを見て愕然となった。
「恵子、愛してるよ。おやすみ」
そこには、自分とは違う女性の名前があったのだ。
次回に続く。
(蒼井凜花/作家・コラムニスト)