倉本昌弘氏に聞く<上>日本ゴルフ界 東京五輪への課題
――どのように改善すればいいのですか。
「現状のままなら、一般の視聴者が見て面白いと思えるところだけをピックアップした15分とか30分のダイジェスト版を作り、試合結果と一緒に放送する。ゴルフファン向けにはライブ中継するという、2本立てがいいと思う。例えば、我々がクリケットにあまり興味がないように、ルールすら分からない競技を見せられても面白くない。ゴルフはそんな状況です。すでに国際ゴルフ連盟では、東京五輪に向けてピーター・ドーソン会長から、試合形式を含めて、競技時間を考え直さないといけないという意見が出ている。米国や欧州では18ホール(H)は長いということで、9Hデーを設けている。それくらいドラスチックに変えていかないと、ゴルフに興味のない人は目を向けてくれません」
■「育成は海外で」
――112年ぶりの復活ということもあったのでしょうが、JGA(日本ゴルフ協会)の五輪ゴルフ競技対策本部の不手際が報じられました。
「任せ切りにしていたわけではなく、組織上、そうせざるを得なかった。意見できる立場ではありませんでした。たとえ意見したところで、誰がどう聞いてくれるのかということです。リオ五輪が終わった時点で、引き続き東京五輪の強化委員長を任されるとか、あるいはもうお役御免だとか、どちらか言ってもらえれば発言も変わります。『強化委員長としてこんなことをやりたい。だからお金を集めます』と言えます。実際、まったくお金がありませんから。今回も5000万円集めたかったのに、なかなか集まらなかった。いまだに自分の立場が分からず、まだ何も決まっていないのです」