ヤクルト4位・中尾輝 女手ひとつで育て上げた母のド根性
ここまできたらやるしかない、と腹をくくった美恵さん。名古屋市内に4LDKの一軒家を構え、食事面のサポートも強化した。1日5食、スタミナのつく手料理をふるまい、杜若高校入学時に62キロだった体重は3年になるころには83キロに増加。その料理の腕を生かし、中尾の高校卒業後には自宅から自転車で5分ほどの距離に「ほんわか安らぎのお店 居酒屋 団」をオープンした。
「息子がいつ帰ってきてもいいように、ご飯を用意して店で待っています。輝は豚汁とか、『団なべ』という、鶏団子と豚バラがたくさん入った鍋が好きですね。ドラフト当日はお店を貸し切って、常連のお客さんと一緒に見守りました。ドラフト会議を見るためにお店のテレビも大きいものに新調して。指名されて良かった。今はファンの方がお花やヤクルトグッズを持ってきてくれます」
16日にヤクルトと契約金4500万円、年俸700万円で仮契約。以前から「温泉旅行をプレゼントしたい」と話していた。初任給の使い道は母親孝行となりそうだ。
▽なかお・ひかる 1994年、名古屋市出身。春日野小学校4年のとき野球を始める。桜田中学校に進学後、「津島ボーイズ」に所属。杜若高校3年夏の県大会ベスト16が最高で甲子園経験はなし。愛知2部リーグの名古屋経済大学に進み、2年春から先発投手。3年秋の東海学園大戦で14奪三振を記録。「2部リーグの隠れた逸材」としてスカウトの注目を集める。180センチ、83キロ。左投げ左打ち。