中日門倉コーチの“指導者のルーツ”は1勝のみの巨人時代に
「久しぶりに野球をやっている感覚で楽しい半面、しっかりやらなきゃという責任感の方が強い」
中日二軍投手コーチ門倉健(45)は、久々の日本球界復帰。NPBでの指導は初で、古巣には20年ぶりの“凱旋”となった。
1996年、中日で1年目から先発に起用されたが、4年目のオフに複数トレードで近鉄へ移籍。以降、渡り鳥の野球人生が始まる。横浜在籍時の2006年オフ、巨人へFA移籍。先発として期待されながら、在籍2年で勝ち星はわずか1勝。その間、何度も行き来した二軍に、指導者としてのルーツがあった。
ある日のファーム球場。周囲に誰もいないのを見計らって声をかけてきたのは、小谷正勝二軍投手コーチ(現巡回投手コーチ)だった。
「小谷さんは僕と目が合って、誰もいないのを確認するなり、『ちょっと』と僕を呼んだ。投球フォームやバッターに対する攻め方について言われて、『確かにそうだ、そういうことやっていなかったな』と。『こんなところで落ち込んでいちゃダメだ』と思えた瞬間だった。多くを語るコーチじゃなかったけど、ボソボソッと言われた言葉のひとつひとつに重みがあって、心を打たれたのを覚えています。そうやって、自分が選手だったときに教えてもらって良かったと思ったこと、立ち直れた言葉を選手にはかけてあげたい。二軍に落ちた選手は(一軍で)打たれて心がズタズタにされている。二軍は一軍から落ちてきた選手をもう一回立ち直らせる場所でもあり、二軍コーチの大事な仕事のひとつ。育成だけじゃなくてベテランの心をケアしていきたい」