ソフトVの裏に非情の工藤采配 内川退団決意と次期監督問題
ダイヤモンドに金色の紙吹雪が舞った。
27日、宿敵ロッテを下し、2017年以来3年ぶりのリーグ優勝を果たしたソフトバンク。先発の和田毅が6回3安打無失点に抑えると、打線も女房役の甲斐拓也が2ランを含む2安打3打点と活躍した。
新型コロナウイルスの影響で恒例の胴上げはなし。それでも工藤公康監督(57)は笑顔を絶やさず、「今日がダメでも明日はまた新しい一日がくる。その思いでこの一年間やってきた。しっかり反省し、準備し、ホークスらしい野球ができた」と今季を振り返った。
優勝の要因のひとつに挙げられるのが若手の躍進だ。中でも目覚ましい成長を遂げたのは周東佑京(24)と栗原陵矢(24)。球界トップクラスの快足を誇る周東はリーグトップの46盗塁もさることながら、課題の打撃は昨季の打率・196から今季は・273と改善。足とバットでチームに貢献した。
栗原は開幕前の練習試合で状態の上がらないベテランの内川聖一(38)に代わって開幕一軍に抜擢。当初は1番打者としてヒットを量産し、現在は打率・244でも得点圏では3割以上と勝負強さを発揮した。
球団スタッフが言う。
「開幕前、球団としては『周東は今季も代走メイン、栗原はブレークするきっかけを掴んでくれたら』という程度の期待だった。一軍の戦力として計算していなかっただけに、うれしい誤算です。今季はコロナもあり、例年以上に厳しいシーズン。連戦続きで9月4日以降は8週連続で金曜が移動ゲーム。休む暇もなかった。その点、若い選手は体力もあるし、一軍で結果を出し続けていればアドレナリン全開。疲労を感じにくく、さらに休む暇がないからこそ、気持ちが途切れずに集中力が続いたのかもしれない」