打者の内角を厳しく攻める捕手の山下和彦さんが心配になった
2連勝がリーグ優勝の条件だったロッテとのダブルヘッダー。1試合目を競り勝って迎えた2試合目も、もつれにもつれた。
同点の八回、「エディ」ことラルフ・ブライアントの本塁打で1点を勝ち越し、あと2回、ロッテの攻撃を封じれば近鉄の優勝。私は八回裏からマウンドに上がった。
1試合目の登板は1点リードの九回裏無死一塁、2ボールという場面。ここはもう、開き直ってど真ん中に投げるしかないといった感じだったけれども、それに比べたら2試合目はある程度、覚悟のようなものをもってマウンドに上がれた。リリーフエースの吉井理人が七回から投げていたし、最後は自分がいくかもしれないという予感はあった。
捕手は山下和彦さんだった。
山下さんは私の2学年先輩。柳ケ浦、新日鉄大分を経て1984年のドラフト4位で近鉄に入団。私とバッテリーを組むときは、とにかく内角球をよく使った。
■体の半分が隠れるくらい