89年日本S第3戦後…加藤哲郎の発言を聞きながら「もう、やめておけ」と思った
「別に、なんてことなかったですね。とりあえずフォアボールさえ出さなかったら。打たれそうな気はしなかったんで。まあ、大したことなかったですね。シーズンの方がよっぽど、しんどかったですから。相手も強いですし」
1989年、巨人との日本シリーズ第3戦に先発、6回3分の1を無失点に抑えて勝利投手になった加藤哲郎は、試合後のヒーローインタビューでこう言った。
翌日のスポーツ紙などに、「巨人はロッテより弱い」などと報じられた一件だ。
この日、登板機会のなかった私は、加藤の発言を移動のバスの中で聞いた。取材対応がなかったり、出番がなかったりした選手たちは試合終了と同時に、自分の荷物を抱えてバスに乗り込む。私も含めて何人かの選手たちは、バスの中のテレビの生中継で加藤の発言を聞いたのだ。
■加藤発言が巨人を刺激
加藤は正直で、思ったことをストレートに口にするタイプだ。レギュラーシーズンでも「きょうは手応えがなかった」などと言ったりする。