巨人2年連続V逸まで「M1」原監督の“重罪”あれこれ…後継者最右翼の阿部コーチは悪評が立つ始末
「原監督(辰徳=64)の意向をお聞きして、自分も同じことを思ったし、僕の将来のことを、僕が思っている以上に監督が考えてくださっていたので、そこで納得できた」
今から3年前の2019年9月25日。巨人の阿部慎之助作戦兼ディフェンスチーフコーチ(43)は、現役引退会見でこう言った。
要するに、原監督に自身の後継者候補と示唆され、続けるつもりだった現役を断念したということである。
今村司球団社長も20年春の日刊ゲンダイのインタビューで「現段階では阿部二軍監督が原監督の後を継ぐ? 今のところはそうでしょう。原監督が阿部君に現役を諦めてもらって二軍監督に据えたのは、早く指導者になれということ。原監督自身も長嶋監督のもとでコーチをやって適性を見られていましたから」と語っていた。編成権も含めた「全権」を持つ原監督の意向により、阿部コーチは紛れもなく次期監督の最有力候補だった。
■二軍監督時代に画期的な取り組み
「適性テスト」でもあった昨年までの2年間は二軍監督を務めた。
さるファーム関係者がこう明かす。
「『二軍だから勝ち負けは関係ない』というのが阿部監督の方針。中田に『打席で1球も振るな』と指示したことがあった。『あのクラスなら(バットを振らなくても相手投手が警戒して)フルカウントになる。タイミングを取りながらどう見えるか。そういう練習ができるのは二軍しかない』と見逃し三振OKを説いた。他の選手には打ち損じないようにいつも以上に集中させるため、『ここはまっすぐを1球で仕留めてこい』と言ったり、『今日はサインはなし。自分たちで考えてやってみろ』と試合前に宣言した時は、さすがにコーチ陣も驚いていました」
二軍でレギュラー格だった当時、高卒4年目の湯浅をあえてスタメンから外し、一軍同様に緊迫した場面で代打で起用したり、二軍で4番だった香月には「一軍では代打が多いだろうから、二軍でも1球で仕留められなかったら終わり。常に2ボールのバッティングカウントだと思って1球に集中しろ」と、あえて重圧をかけたこともある。
たとえ二軍でも勝利が求められる巨人では画期的な方針で、ファームのコーチ陣の評判は上々だった。とはいえ、球団の評価とは必ずしも一致しなかった。というより、球団内から聞こえてくるのは「悪評」だった。