株式会社AIRECサービス社長 南竜次(4)天理高時代の理不尽な上下関係から得た教訓と財産
株式会社AIRECサービス社長 南竜次(50歳・日本ハム→米独立リーグ)
「野球をやっていなかったら今の自分はない。特に天理高の経験が生きています」
前職で安くコキ使われていた経験から、自分が起こした会社では努力が報われる給与体系を考案した。多くの会社にありがちな“悪習”を断ち切りたいと考えるきっかけは、3年夏に甲子園で優勝した高校時代にあった。
「絶対に戻りたくないぐらい、寮生活は地獄でした。もう一度やれと言われたら、仮に1000万円もらっても嫌ですね。監督からの体罰はなかったけど、先輩がヒドかった(苦笑)。しかも、細かいルールがたくさんあったんです。例えば、下級生は扇風機や冷蔵庫は使用禁止。食事の米の量も制限されたし、味噌汁に具を入れてはいけなかった。他にも……。そんなくだらないことは、僕らの代で終わらせようとなったんです」
過酷な環境に耐え、南氏が最上級生となった2年秋から、部員による投票で選ばれた主将を中心に部内改革を断行した。
■「あの時、自分たちが変われた」
「当時の監督いわく、天理高史上初の満場一致で主将が選ばれた。選ばれたのは僕ではなく、寺川というヤツです。その寺川が働きかけて、随分と暴力や上下関係の変なルールが減ったと思う。僕も彼の方針には大賛成でした。思い返せば、あの時に自分たちが変われた経験は財産になっています。もちろん、苦しい生活をやり切ったことも、今に生きている。あの日々よりもしんどいことはありませんでしたから。精神的、肉体的に強くなれました(笑)」