橋上秀樹(3)2013年大会準決勝プエルトリコ戦 八回「重盗」失敗の苦すぎる教訓
橋上秀樹(2013年大会戦略コーチ/現BC独立リーグ新潟アルビレックス監督)
東京ラウンドを勝ち上がった日本は準決勝のプエルトリコ戦(サンフランシスコ)に向けて、まずはアリゾナ州フェニックスで時差調整を行った。現地時間3月13日に同州に入り、17日の本番までにジャイアンツ、カブスと練習試合をこなした。
「寒さが残る日本から30度近いアリゾナに入ったので暑さでグッタリでした。(決勝ラウンドの開催地)サンフランシスコは寒く感じて(3月の最低気温は9.4度)寒暖差で体に負担がかかりました」
第2ラウンドの台湾戦は鳥谷(阪神)が起死回生の二盗を決め、逆転勝ちを呼び込んだ。しかし、プエルトリコ戦では日本が武器とする機動力がかえって裏目に出た。0-3で迎えた八回1死。鳥谷が三塁打を放ち、続く井端(中日)の右前適時打で1点を返した。なおも内川(ソフトバンク)が右前打で続き、1死一、二塁と好機を広げて4番・阿部(巨人)を打席に迎えた。
1ストライクからの2球目。山本浩二監督は重盗を仕掛けた。しかし、二走の井端は走る構えを見せただけ。同時にスタートを切った一走の内川は一目散にダッシュした。二塁の手前まで到達してしまい、メジャーを代表する捕手のモリーナ(カージナルス)に追い込まれてタッチアウトとなり、思わず天を仰いだ。この重盗失敗で反撃ムードはついえて結果的に3連覇の夢は絶たれた。