元阪急西本幸雄監督は8度のリーグVも日本一叶わず…「悲運なんて言ったらあいつらに失礼だよ」
西本幸雄(元阪急、近鉄監督)
1960年代から80年代にかけて20年間に及ぶ監督生活で大毎、阪急、近鉄とパ・リーグ一筋に合計8回のリーグ優勝を記録、歴代6位となる監督通算勝利1384勝をマークしたのが西本幸雄だ。
手抜きや怠慢プレーは一切認めず、時には鉄拳制裁も辞さなかった西本だが、それもグラウンドの中だけ。普段は選手たちのことを親身になって考える親分肌の人物だった。多くの選手たちに慕われたのも当然だろう。
そんな西本は人一倍、生真面目で頑固な性格だった。それをよく表しているのが、阪急監督就任4年目の66年秋季キャンプで起こった「監督信任投票事件」である。長いプロ野球の歴史で監督が自らの進退に関して選手に投票させたというのは後にも先にもこの一例があるのみ。まさに稀有な出来事だった。
この年、阪急は57勝73敗4分けで優勝した南海とは22ゲーム差の5位に終わる。36年の球団創設以来、一度も優勝したことのない弱小球団だった。ふがいないシーズンを終えると西本は選手たちに、
「俺を続投させるなら〇、辞任させるなら×だ。おまえたちで決めろ」