「戦前日本SF映画創世記」高槻真樹著
■「ゴジラ」に見る日本人のSF的想像力
日本SF映画の原点にして金字塔といわれる「ゴジラ」(1954年公開)。戦後から語り始められることが多い日本のSF・特撮映画の歴史を戦前にまでさかのぼり、「ゴジラ」を生み出した日本人のSF的想像力のルーツをたどる映画本。
著者は、日本で最初のSF映画を1926年公開の「狂つた一頁」(衣笠貞之助監督)と定義。精神病院の患者たちの精神世界を、特撮映像を駆使して表現したこの映画の製作に、実はゴジラの特撮監督を務めた円谷英二も撮影助手として携わっていたという。その後の小型映画と呼ばれる愛好家の作品から商業映画まで、歴史に埋もれた多くの作品を紹介しながら、ゴジラ誕生までの歴史をたどる。
(河出書房新社 2500円)