「これだけは見ておきたい 日本の産業遺産図鑑」二村悟著/小野吉彦写真
「富岡製糸場と絹産業遺産群」の世界遺産への登録が決まり、ますます注目が集まる日本の産業遺産を紹介するカラーガイドブック。北は北海道余市町の「ニッカウヰスキー北海道工場」から、南は沖縄県黒島の長さ354メートルの「伊古桟橋」まで、全国の74件を地域別に案内してくれる。
取り上げられる産業遺産は、製造業や、ガス・電気・水道事業などの第2次産業に、交通遺産、そして伝統産業などの建造物や関連施設。例えば、昭和10年代には世界シェアの7割を占め、一大輸出産業だったという北海道北見のハッカ。昭和8年に操業を開始した工場で事務所として使われ、現在は記念館として残る建物が取り上げられる。
その他、日本の数ある歴史的ワイン醸造施設の中でもデザインの質が高く、あの電気ブランで知られる浅草・神谷バーの創業者・神谷伝兵衛が造ったワインの醸造施設「シャトーカミヤ旧醸造場施設」(茨城県=写真)をはじめ、わが国初の大規模発電所「旧八百津発電所施設」(岐阜県)や、明治時代のレンガ製造の最新設備だったホフマン式輪窯が唯一完全な状態で残っている「旧下野煉化製造会社煉瓦窯」(栃木県)など。