話題作「相互確証破壊」の著者・石持浅海氏に聞く

公開日: 更新日:

 淫靡さに拍車をかけるのは、語り手がすべて女性という点だ。女性の視点で描かれる快楽から絶頂への過程が生々しい。

「僕は男だから実際に女性の絶頂感がどういうものかわかりませんから、多少の期待は入っています(笑い)。男性読者を意識して書いたので“官能小説にお約束の絶頂感”もある程度は書いているんですけどね」

 唇や舌が発する卑猥な音、湿り気と熱を帯びた股間など、女性の性的衝動や生態描写はかなり扇情的だ。女性読者が納得のいく官能シーンも多い。

「官能という毛布をかけてはいますが、“女性の自分探しの物語”という見方もできるかもしれません。読んだ方からは『会社員は不倫しかしていないのか?』なんて言われましたけれど(笑い)」

 そもそも、なぜ官能とミステリーをコラボすることになったのか。

「単純に依頼なんです。もともと作中に官能シーンを厚めに描くことがあり、それに反応した編集者が依頼してきたというわけ。ただ、官能×推理だけでなく、それぞれにもうひとつお題があって。“鉄道”とか“歌謡曲”とかね。三題ばなしみたいな依頼だったんです(笑い)」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  3. 3
    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

  4. 4
    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

  5. 5
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  1. 6
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  3. 8
    ドジャース山本由伸に降りかかる不正投球を疑う目 マウンドでの危険な振る舞いは命取りにも

    ドジャース山本由伸に降りかかる不正投球を疑う目 マウンドでの危険な振る舞いは命取りにも

  4. 9
    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  5. 10
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと