外国人が教えてくれる日本の魅力編

公開日: 更新日:

 病的に清潔好き、怒ることを知らず我慢強い日本人に、最初は呆れていたジョイス氏は、やがて自分も日本的になっていることに気づく。秋葉原での乗り換えに一番便利な車両、目黒駅で一番エスカレーターに近い車両に乗っている自分。

「イギリスではこんなことをしても意味がない。イギリスの運転士はプラットホームの決まった位置に電車を止めたりはしないのだ」。へー、イギリスってそうなんだという発見もあり、日英の文化・国民性の比較にもなっている。最初は理解不能でマイナスイメージすら抱いていた日本文化に引きつけられていく様子を、ユーモアを交えながらつづっていく。

 そんなジョイス氏が、「礼儀正しく控えめな日本人が、無礼で慎みがなくなるのはなぜだ」と訝るのが、日本料理は美味だがイギリス料理はまずいという定説。愛国心を発揮して逆襲するところがいじらしい。例えばウスターソースはイギリスのウスターという町にちなんだもので、本来は少量ふりかける香辛料。トマトジュースに注ぐと実に美味。試してみたくなる。

 歌舞伎は歌舞伎町ではやっていない。電話を切るとき思わずお辞儀をしてしまう――など、日本らしさを再認識するには「外の目」が重要だ。初版は2006年で、21刷を重ねるロングセラー。お店や名所情報など変わっているところもあるが、本書の面白さは、不変だ。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    北乃きいが「まるで別人!」と話題…フジ「ぽかぽか」でみせた貫禄たっぷりの“まん丸”変化

    北乃きいが「まるで別人!」と話題…フジ「ぽかぽか」でみせた貫禄たっぷりの“まん丸”変化

  2. 2
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  3. 3
    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

    鹿児島・山形屋は経営破綻、宮崎・シーガイアが転売…南九州を襲った2つの衝撃

  4. 4
    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

    (6)「パンツを脱いできなさい」デビュー当時の志穂美悦子に指示したワケ

  5. 5
    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

    ビール業界の有名社長が実践 自宅で缶ビールをおいしく飲む“目から鱗”なルール

  1. 6
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

  2. 7
    静岡県知事選で「4連敗」の目 自民党本部の推薦が“逆効果”、情勢調査で告示後に差が拡大の衝撃

    静岡県知事選で「4連敗」の目 自民党本部の推薦が“逆効果”、情勢調査で告示後に差が拡大の衝撃

  3. 8
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 9
    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

    若林志穂vs長渕剛の対立で最も目についたのは「意味不明」「わからない」という感想だった

  5. 10
    “絶対に断らない女”山田真貴子元報道官がフジテレビに天下りへ 総務官僚時代に高額接待で猛批判浴びる

    “絶対に断らない女”山田真貴子元報道官がフジテレビに天下りへ 総務官僚時代に高額接待で猛批判浴びる