「警視庁文書捜査官」麻見和史著

公開日: 更新日:

 物語の語り手は、所轄の刑事から捜査第1課への異動が決まって大喜びしていた矢代朋彦。花形部署で活躍するつもりが、配属されたのは書類の整理や保管が主な仕事という科学捜査係文書解読班だった。

 しかも人の書いた文字を偏愛する文字フェチの女性上司・鳴海理沙警部補とたった2人だけという部署で、口の悪い先輩からは「倉庫番」と呼ばれる始末。

 すっかりしょげていた矢代だったが、ある日殺人事件の捜査のために捜査1課4係と共に現場に行くように出動命令が下る。現場にあったのは、レシート裏のメモ書きと、ゴミ箱の下にあったアルファベットの書いてあるカード。果たして、2人は事件の真相に迫ることができるのか……。

 文書や話した言葉から情報を引き出し、犯人心理をあぶりだす女性警部補を部下の視点から描いた警察小説。美人でありながら文字オタクぶりを発揮する理沙警部補の鋭い洞察力に、矢代が魅了され影響されていく様子がほほ笑ましい。
(KADOKAWA 1500円+税)


最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 2
    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

    一人横綱・照ノ富士が満身創痍でも引退できない複雑事情…両膝と腰に爆弾抱え、糖尿病まで

  3. 3
    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

    ドジャース山本由伸いきなり「投手史上最高の465億円」は“佐々木朗希込み”の値段だったか

  4. 4
    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

    まともに相撲が取れない貴景勝いまだ現役の裏に「親方株問題」 3場所連続休場で9度目カド番確定

  5. 5
    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  1. 6
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7
    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

    福山雅治は自宅に帰らず…吹石一恵と「6月離婚説」の真偽

  3. 8
    ドジャース山本由伸に降りかかる不正投球を疑う目 マウンドでの危険な振る舞いは命取りにも

    ドジャース山本由伸に降りかかる不正投球を疑う目 マウンドでの危険な振る舞いは命取りにも

  4. 9
    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

    竹内結子さん急死 ロケ現場で訃報を聞いたキムタクの慟哭

  5. 10
    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと

    マレーシア「ららぽーと」に地元住民がソッポ…最大の誤算は歴史遺産を甘く見たこと