「出生前診断」河合蘭氏

公開日: 更新日:

 出生前診断とは、妊娠中の胎児に病気や障害があるか調べる検査のこと。

「通常の妊婦健診で行われる超音波検査も出生前診断のひとつです。胎児に病気が見つかったら、出産後すぐに投薬や手術ができる分娩施設に転院するなど、本来は治療が目的ですが、病気がわかったことで中絶につながることもある大きな問題を抱えています」

 本書は、出生前診断の現状と、ジレンマに悩む人々を徹底的に取材している。

 半世紀前から行われている羊水検査は、妊婦のお腹に針を刺すため流産率0.3%とリスクが大きかった。1990年代に導入された母体血清マーカー検査は、妊婦の採血のみで調べられるため、リスクが激減。

 だが、確率しかわからず妊婦が混乱したり、世間ではダウン症の子は生まれてはいけないのかと議論にもなり、国は「妊婦に検査の存在を知らせる必要はない」との見解を出した。

「ところが2014年に、母体からの採血で胎児の染色体異常がもっと高い精度でわかる新型出生前診断(NIPT)が、日本でも導入され、大きな話題になりました。絶対に検査を受けようと思っていた人が土壇場でやめたり、その逆だったりと、妊婦さんたちはすごく揺れています」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    立花孝志容疑者を"担ぎ出した"とやり玉に…中田敦彦、ホリエモン、太田光のスタンスと逃げ腰に批判殺到

  2. 2

    片山さつき財務相“苦しい”言い訳再び…「把握」しながら「失念」などありえない

  3. 3

    阪神異例人事「和田元監督がヘッド就任」の舞台裏…藤川監督はコーチ陣に不満を募らせていた

  4. 4

    阪神・佐藤輝明にライバル球団は戦々恐々…甲子園でのGG初受賞にこれだけの価値

  5. 5

    高市首相「世界の真ん中で咲き誇る日本外交」どこへ? 中国、北朝鮮、ロシアからナメられっぱなしで早くもドン詰まり

  1. 6

    “文春砲”で不倫バレ柳裕也の中日残留に飛び交う憶測…巨人はソフトB有原まで逃しFA戦線いきなり2敗

  2. 7

    阪神・佐藤輝明の侍J選外は“緊急辞退”だった!「今オフメジャー説」に球界ザワつく

  3. 8

    ドジャースからWBC侍J入りは「打者・大谷翔平」のみか…山本由伸は「慎重に検討」、朗希は“余裕なし”

  4. 9

    阪神の日本シリーズ敗退は藤川監督の“自滅”だった…自軍にまで「情報隠し」で選手負担激増の本末転倒

  5. 10

    古川琴音“旧ジャニ御用達”も当然の「驚異の女優IQの高さ」と共演者の魅力を最大限に引き出すプロ根性