父の青春をめぐるノンフィクションを描いた 目黒考二氏に聞く

公開日: 更新日:

 辞典を読むのが趣味だった寡黙な父。そんな父に自分の知らないドラマチックな過去があった。父の青春とはどんなものだったのだろう……。そんな気持ちに動かされて、目黒氏はかつて父親のいた場所を訪ね歩き、「昭和残影 父のこと」(KADOKAWA 1700円+税)を書きあげた。

 それは1985年の夏、著者が39歳のとき、墓参のため両親と共に立ち寄った北海道の親戚の家でのことだった。

「叔父が『あなたのことが本に出ていましたね』と言ったとき、父がとぼけていたのがすごく気になっていたんです。で、こっそり後で調べたら、その本というのは、山岸一章著の『聳ゆるマスト-日本海軍の反戦兵士』という1981年に新日本出版社から出た本のことでした。父が若いころ反戦活動をして刑務所に入ったことは聞いていましたが、その本を読んで初めて、母と結婚する前に渡辺初代という女性と結婚していた事実を知ったんですね」

 夫婦は自宅を「無産者新聞」の川崎支部にしていたことに絡んで、1933(昭和8)年に検挙された。そして、妻の初代は特高に虐待され、釈放後間もなく亡くなった。

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  2. 2
    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った

    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った会員限定記事

  3. 3
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  4. 4
    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

  5. 5
    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    石原裕次郎(12)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉

    石原裕次郎(12)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉会員限定記事

  3. 8
    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

  4. 9
    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた

    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた会員限定記事

  5. 10
    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」

    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」