在留外国人との交流に必要な実践的な知識と知恵が満載
日本政府は今年3月、日本で働く外国人受け入れのためのさまざまな施策を閣議決定した。2014年度末時点で日本における在留外国人は212万人を超えており、今後ますます増加の傾向が予測されている。
一方、地域社会では言語・文化の異なる人々が住民として暮らすようになり、労働問題や教育問題、健康問題等に対する相談事業の整備が急がれている。杉澤経子ほか監修「外国人相談の基礎知識」(松柏社 2300円+税)では、外国人支援を考えるボランティアや企業が知っておくべき情報を解説。外国人相談事業の取り組みの現状や、専門用語なども紹介していく。
東京都では2002年度から、NPOや専門家団体が都内を巡回する「都内リレー専門家相談会」が実施されている。主な相談内容は、在留資格や賃金不払いなどの法律分野、子どもの進学やいじめ問題などの教育分野、税金や隣人トラブルなどの行政分野、そしてこころの医療という4分野に分けられるという。
中でも、こころの医療に関しては相談者自身が気づいていないことが多く、通訳者もしくは精神科医などの専門家が気づいて医療につなげたケースがほとんどだった。うつ病や不安障害、アルコール依存症などが多く、在留外国人には「異文化ストレス」という負荷がかかることを理解し、潜在化しがちな問題にアプローチできる体制づくりが必須であると本書。