「為吉 北町奉行所ものがたり」宇江佐真理著
尾張町の呉服屋「摂津屋」の跡取り息子として生まれた為吉が5歳のとき、店が押し込み盗賊に襲われ、両親らは惨殺されてしまう。叔母に育てられた為吉は、紆余曲折を経て17歳で北町奉行所の中間となった。
6年後、為吉は親しい賄い方の中間・杉蔵から、生家を襲った盗賊集団・青蜥蜴の首領が久しぶりに江戸に現れたらしいと耳にする。やがて、隠密回り同心らの探索で、年を取り体を悪くした首領の栄五郎が、仲間らに見切られ、江戸で医者通いをしていることが分かった。為吉は、栄五郎の捕縛に自ら進んで捕吏として加わる。(「奉行所付き中間 為吉」)
奉行所で働く役人たちの人間模様を描いた人情時代連作集。(実業之日本社 1600円+税)