「右だ」「左だ」のレッテル貼りに痛快な反論
「9条は戦争条項になった」 小林よしのり著/角川新書/800円+税
1999年発売の「新・ゴーマニズム宣言SPECIAL 戦争論」(幻冬舎)にて、過度な自虐史観を改めるべきだという提案をした小林よしのり氏は、いつしか「ネトウヨの生みの親」といわれるようになった。しかし、彼らの排外的な主張に対して批判的な発言をここ数年してきたことから、「手のひら返しをした」とネットでは書かれがちである。
本書は、小林氏が考える「保守」「愛国」「民主主義」が一体どんなものかをみっちりと解説したもの。普段小林氏はこうした件についてブログにて短文で紹介するため、一部だけを切り取られ、前出のような「手のひら返しをした」といわれるが、本書を読むことにより、同氏の考えが1990年代から一切ブレていないことが分かる。小林氏は「戦争論」では右派的論を唱えるも、脱原発や安保法制反対といった左派的発言をする。これが「ブレている」の根拠となっているが、同氏はこう反論する。
〈単純にイデオロギーの仕分けをし、自分のポジションを「右」に決めたら、自動的に「安保法制賛成、安倍政権支持、原発推進、憲法改正」などは全部ワンセットだと思い込み、その枠に従ったことしか言わなくなる。こういうのを「ポジション・トーク」という〉