「『かぐや姫』誕生の謎」孫崎紀子著
日本最古の物語「竹取物語」の謎に迫ったノンフィクション。
大きな謎のひとつはその作者であるが、著者は菅原道真の孫・文時の名を挙げる。宮廷で全国の神社の神階やなまりを正しくする仕事に携わっていた文時は、大和国広瀬郡「さるき(散吉)神の社」を「さぬき(讃岐)神社」になまりを正した。しかし、これにより道真が編纂した「日本三代実録」の中の二注の散吉神をも消してしまうことに。たたりを恐れた文時が「さるき」を別の形で残そうと書いたのが「さるきのみやつこ」を主人公とする「竹取の翁の物語」だと説く。
日本書紀に登場する渡来人から中世ペルシャと日本のつながりを考察しながら、竹取物語誕生の謎を解き明かす。(現代書館 2200円+税)