「小説 外務省Ⅱ」孫崎享著
2013年秋、外交官の西京寺はイラン大使館への異動を命じられる。尖閣問題で、「日中間に棚上げの合意はない」という政府や外務省の見解に背いた発言を内外に発信してきたための左遷人事は明白だ。出発の準備を進める西京寺に米国大使館のドレズナーが接触してきた。前年、西京寺は米国の意向に反した鳩山元首相のイラン訪問を支持した。そうした事情を知りながら、ドレズナーは米国とイランの関係改善のための協力を求めてくる。それが国益になるとの確信を持つ西京寺は赴任後、ドレズナーの指示を受け、歯科医のルクサナを訪ねる。
元イラン大使が世界の情報戦の現実と日本外交の無為無策を描いたノンフィクションノベル。(現代書館 1600円+税)