「五〇年酒場へ行こう」大竹聡氏

公開日: 更新日:

 呑み歩きの達人との異名を持つ著者である。さぞや酒にも酒場にも精通していると思いきや、軽快に裏切られた。

「僕、酒の蘊蓄がないんですよ。興味がないから覚えないし。有名な酒場を訪ねる趣味も本来は持っていません。でも今回は、50年続く酒場の歴史や、そこのあるじの人生を書きたかった。僕は今年53歳で、そこに呼応する部分があるんじゃないかと思ったのです。自分の親の年代の人がねじり鉢巻きで店を守っている光景が、心に染みてくる年になったんでしょうね」

 始まりは「新潮45」の連載だ。約3年かけて、34軒の老舗酒場を大酒呑み編集者とともに呑み歩いた。豚のカシラの味噌だれが人気の「大松屋」(東松山)を皮切りに、レモンサワー発祥の店「ばん」(祐天寺)、絶品アンコウ鍋の「丸志げ」(浦安)と名店へ足を運ぶ。

 しかし、訪れる著者の視点は常に新参者。決して食通ぶらず、淡々と酒場の雰囲気を描写する。そして呑む。とにかく呑む。

「もうね、呑みたくてしょうがないんです。話はそこそこで切り上げちゃってね。取材に行ってるんだか、呑みに行ってるんだかわからない(笑い)」

最新のBOOKS記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動