「新宿ゴールデン街物語」渡辺英綱著
新宿ゴールデン街で酒場を営んできた著者が、街の変遷を内側から描いたルポルタージュ。
「お上に逆らわず、従わず」という精神を貫いてきた新宿の歓楽街としての歴史は江戸時代にまでさかのぼれるという。戦前、遊郭を中心に発展してきた新宿は戦争で一変。終戦の日の5日後には闇市が始まり、区画整理で移転を余儀なくされた露天商たちによってゴールデン街が形成された。しかし、当初、町には閑古鳥が鳴いていたため、組合の理事たちの話し合いで非合法売春に手を出し、「青線」と呼ばれる地帯へと発展していった。
かつて売春に携わった女性たちや、街に出入りする文化人たちのエピソードなどを紹介しながら、磁場のように人々を引き寄せてきたゴールデン街の今昔を語る。(講談社 860円+税)