満身創痍の根津甚八 「GONIN」続編で見せた“最後”の迫力演技
クランクインのときは、少し以前よりふっくらし、久しぶりの現場に戸惑っているように周囲には見えたようだ。2010年に俳優引退を表明後、この秋公開の映画「GONIN サーガ」(石井隆監督)で1作だけのカムバックを果たした根津甚八(67)である。
20年前に出演した「GONIN」の続編で、根津は同じ役柄、汚職でクビになった元刑事の氷頭を演じた。凶弾で生死の境をさまよっていたが、19年ぶりに植物状態から蘇ったとの設定で、石井監督からの熱烈オファーに対して「最後にもう一度、試してみよう」と決断したとコメントしている。
実生活では、作品よりも過酷な闘病生活を送ってきたといっていいかもしれない。93年に撮影で落馬して腰椎損傷。01年からは「右目下直筋肥大」という難病に侵された。物が二重に見える「複視」や目を自分の意思で動かすことが困難になったり、右まぶたが垂れ下がる症状が出る。それで何度も整形手術を受けるも、04年にはこの視力障害が原因ともみられる交通事故を起こしてしまう。さらにその翌年、椎間板ヘルニアの手術を受けたが、歩行障害が残り、つえを手放せなくなった上、うつ病にも苦しんできた。今回の撮影には車いすでの参加だった。関係者が振り返る。