疑惑を知りつつ…清原和博を美化して醜態晒したテレビ局
【山田隆道コラム「プロ野球人物研究 対岸のヤジ」】
清原和博(48)の逮捕については驚いたが、ショックではなかった。そもそも彼は数年前から薬物疑惑が報じられており、知人のマスコミ関係者の多くも黒だと断言していたため、私はすっかり諦観していたのである。
だが、一方でそういう清原をバラエティー番組に起用し続けるテレビ界には辟易していた。彼の危うすぎる状況は十分わかっていたはずなのに、それでも各番組で彼を美化したVTRを作ったり共演者が彼を持ち上げるコメントを連発したり、まるで清原のイメージアップ戦略に加担しているかのようなありさまだった。
これは清原のバックに大手芸能事務所がついていたことや、中居正広らの大物タレントが清原の起用を進言したことなど、すなわち芸能界の判断にテレビがしたがった結果だろう。私は放送作家時代、そんな光景を山ほど見てきた。
ここで問題になってくるのは、この芸能界の判断という部分である。
タレントとは良くも悪くも浮世離れした価値観の持ち主が多く、破天荒であることさえ芸のうちという側面がある。したがって、清原と共演したタレント連中が、「(清原は)根は優しくて純粋だ」「誤解されている」「見た目は怖いけど、人は見かけによらない」などといった擁護を繰り返したのも当然だ。彼らは奇抜な価値観によって成功した希少種なのだから、その感覚で清原を評すると、どうしたって寛容になってしまう。