<第1回>露木茂氏 「かつては圧力を局全体でハネのけた」

公開日: 更新日:

 本番の前にはもちろん、僕、スタッフ、それに番組責任者も含めて編集会議を開き、どのニュースをどんな順番で取り上げるかを綿密に決めていきます。もちろん、僕のコメント内容も。そこで僕が曖昧な発言をすると、責任者から「そこはもっと厳しく」とか、逆にあまり突っ込み過ぎると「もうちょっと別の表現で」といった注文がつく。こうして、本番に入っていくので、放送後、仮に僕のコメントに問題があったとしても、それは番組全体の責任です。当時の上層部には「外部からのキャスターへの圧力は局全体ではねのける」という、テレビ人としての姿勢があったと思うんです。ところが今はキャスター個人の発言として問題視されることが多くなった。キャスターの個性に依存し過ぎているのかもしれません。

 権力と緊張関係という意味で例を挙げるとすれば、1972年に起きた「浅間山荘事件」でのこと。人質を取って山荘に立てこもる犯人グループに対して、外部の情報をあまり与えたくないということで、警察庁で当時、現場の指揮を執った佐々淳行さんから「テレビ・ラジオの方には配慮をお願いしたい」という申し入れがありました。犯人が聞いている可能性があるからです。しかし、いざ警官隊が「突入」となったとき、正面からは鉄球や放水などで攻め立てる一方で、犯人グループに気取られぬように山荘の裏側にも機動隊が近づいていっている。こうした事実を確認した以上、我々は目の前で起きている事態を伝えないわけにはいかない。ギリギリの判断の上、我々は事実を映像で伝えました。ひょっとして犯人側がテレビを見ていれば、何か対応するかもしれないとも思いました。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    ロッテ佐々木朗希は母親と一緒に「米国に行かせろ」の一点張り…繰り広げられる泥沼交渉劇

  2. 2

    米挑戦表明の日本ハム上沢直之がやらかした「痛恨過ぎる悪手」…メジャースカウトが指摘

  3. 3

    陰で糸引く「黒幕」に佐々木朗希が壊される…育成段階でのメジャー挑戦が招く破滅的結末

  4. 4

    9000人をリストラする日産自動車を“買収”するのは三菱商事か、ホンダなのか?

  5. 5

    巨人「FA3人取り」の痛すぎる人的代償…小林誠司はプロテクト漏れ濃厚、秋広優人は当落線上か

  1. 6

    斎藤元彦氏がまさかの“出戻り”知事復帰…兵庫県職員は「さらなるモンスター化」に戦々恐々

  2. 7

    「結婚願望」語りは予防線?それとも…Snow Man目黒蓮ファンがざわつく「犬」と「1年後」

  3. 8

    石破首相「集合写真」欠席に続き会議でも非礼…スマホいじり、座ったまま他国首脳と挨拶…《相手もカチンとくるで》とSNS

  4. 9

    W杯本番で「背番号10」を着ける森保J戦士は誰?久保建英、堂安律、南野拓実らで競争激化必至

  5. 10

    家族も困惑…阪神ドラ1大山悠輔を襲った“金本血縁”騒動