飯田橋「くらら劇場」閉館 ピンク映画の灯がまた消える
【大高宏雄「エンタメ最前線」】
都内のピンク映画館の飯田橋「くらら劇場」が5月31日で閉館することが決まった。ビルの老朽化などが理由という。これで都内のピンク映画館は上野、池袋の計4館のみとなる。
10代の頃からピンク映画を見て映画漬けの日々が始まった筆者からすると、何とも寂しい事態である。「くらら劇場」には頻繁に通ったわけではない。ちょっと入りづらい雰囲気があったからだが、それでも多くの映画との楽しい出合いがあった。
ピンク映画が厳しい時代を迎えてすでに長い年月が経つ。だが、今もここを拠点に映画を作り続けている映画人は多い。ピンク映画は監督、スタッフ、俳優を育て、今もそこから羽ばたこうとしている人たちがいる。
実は「くらら劇場」を舞台にした映画「華魂 幻影」が4月30日から公開される。本作の佐藤寿保監督は生粋のピンク映画出身。大西信満演じる映写技師を主人公に、まさにピンク映画に愛を捧げたかのような作品に仕上がっている。映画は「くらら劇場」の閉館日にファンが集まってくる話。泣けるではないか。その映画の話が現実になってしまったのだ。映画では三上寛が劇場支配人を演じ、嫌らしくも熱のこもった演技を披露しているのがうれしい。