「ハロワ!」久保寺健彦著
■ハローワークが舞台の連作小説
28歳の沢田は、公共職業安定所のハローワーク宮台で嘱託職員として働き始める。求職者として同所に通う中、統括官の千堂にスカウトされたのだ。研修を終え、相談カウンターに出た沢田は、初利用という68歳の波多野を担当。2人のやりとりを見守っていた千堂や先輩相談員から、沢田は波多野に注意するよう言われる。
案の定、翌日から波多野は沢田を指名し、延々と脈絡のない話を始める。配管工だった波多野は事務職を希望しているが、歯がないことを理由に不採用が続く。沢田が意を決し歯を治療するよう助言すると、波多野は急に怒り出す。
ハローワークを舞台に新人相談員と求職者とのドラマを描く連作小説。
(集英社 600円)