まんだらけ、万引犯の「顔写真」公開断念 弁護士の見解は?
漫画「鉄人28号」のブリキ製おもちゃ(25万円)を「万引した」人物に対し、「返却しなければ顔写真をHPに公開する」と警告していた古物商「まんだらけ」(東京・中野)。予定期限を迎えた13日未明、HPで「警視庁の要請により顔写真の全面公開は中止させて頂きます」と発表した。
もともと、今回の顔写真公開に異論を唱える声は多かった。
元検事の落合洋司弁護士がこう言う。
「司法手続きではなく、個人が実力で権利回復を果たす『自救行為』は厳格な範囲で適用されるもの。今回のようなケースは、確実に犯人と決まったワケでもなく、強要罪などに当たる可能性のほか、名誉毀損や肖像権侵害の問題もあります。被害救済のために<やむを得ない><盗まれ損>との意見もありますが、やはり警察などに動いてもらうべきでしょう。公開された人物が思いがけない行動を取ることも予想され、刑事、民事両面で余計なトラブルを抱えることにもつながりかねません」
ただでさえ、ネット社会は個人が勝手に“私刑”を加える行為がまかり通っている。当局以外の「指名手配」を許せば、社会秩序は成り立たない。警視庁が一刻も早く犯人を捕まえることを望むばかりだ。