「セカンド・ラブ」主演 深田恭子“浮沈のカギ”握る脚本の力
【連載コラム TV見るべきものは!!】
深田恭子は不思議な女優さんだ。確かに美人だし、往年のイタリア女優みたいな暴力的ボディーも見事だ。ただし全体の雰囲気はおっとりしている。いわば“ふわふわ系”だ。だから合致する役柄を探すのが難しい。
最近の航空管制官(「TOKYOエアポート」)や弁護士(「女はそれを許さない」)のような、しっかり系やキビキビ系は全く似合わない。過去の主演ドラマで最も適役だったのは、2005年の「富豪刑事」(テレビ朝日系)だ。大富豪のお嬢さまにして刑事という、とっぴな設定がピッタリだった。あれから10年。32歳になった深田に再び好機が訪れた。それが「セカンド・ラブ」だ。
このドラマでの深田は高校の化学教師。真面目ではあるが惰性で仕事を続けており、それは先輩教師(生瀬勝久)との不倫関係も同様だ。この“ぼんやり感”が深田にはよく似合う。そんな深田が、年下のダンサー(亀梨和也、好演)との恋愛でどう変わるのか、どう落ちていくのかが見どころだ。
遅い時間帯でもあり、深田の大胆なシーンに期待はするが、同じ枠での「特命係長 只野仁」みたいな描写は無理だろう。いや、ここで全てをさらさなくてもいいのだ。画面に“オトナの女性”の官能を漂わせてくれれば十分だ。まあ、それもこれも、「セカンドバージン」の手だれ、大石静さんの脚本にかかっている。
(上智大学教授・碓井広義=メディア論)