映画「クリード」振るわないなぜ? 興収はSWの30分の1
正月興行は「スター・ウォーズ/フォースの覚醒」が本領を発揮した。公開当初「妖怪ウォッチ」がいい勝負だったが、さすがは大本命、年末からぐんぐん客足が伸びた。4日時点で興収約68億円を記録。2位「妖怪ウォッチ」は約39億円だ。
ところで、正月映画で一番後発だったが、シルベスター・スタローン(写真=AP)の「ロッキー」シリーズを受け継ぐ「クリード チャンプを継ぐ男」の評判が圧倒的に良かった。映画の評価は傑作の場合であっても否定的意見が出ることがある。だが「クリード」は違った。見た人の多くが絶賛し、およそ否定的意見が見当たらないのだ。
しかし、興行の世界は理不尽だ。4日時点で「スター・ウォーズ」のなんと約30分の1の興収2億6000万円にとどまっている。作品の評価の高さからいったらありえないような成績。いろいろ理由はあるが、3つだけ指摘する。
1つは中身の良さが伝わっていないことだ。見た人が面白いと言っても事前の宣伝段階でその良さが浸透しないと関心は広がらない。
2つ目にタイトルのインパクトのなさ。「クリード」ではイメージがわかない。これでは「ロッキー」とのつながりがまったくわからない。「ロッキー」をどこかで使えなかったか。
3つ目は観客の問題である。話題性の大きさなど、派手な宣伝が浸透しないと、今は関心をもたない。面白い作品だから見に行くのではなく、話題になっているから見に行く。こういう人が多くなっている。映画界は正月から大損をしてしまった。
(映画ジャーナリスト・大高宏雄)