吉川圭三
著者のコラム一覧
吉川圭三映像プロデューサー

1957年、東京都生まれ。82年日本テレビ入局。「世界まる見え!テレビ特捜部」「恋のから騒ぎ」「1億人の大質問!?笑ってコラえて!」などを手掛ける。現在、ドワンゴのエグゼクティブプロデューサー、早稲田大学表現工学科講師を務める。著書に「たけし、さんま、所の『すごい』仕事現場」(小学館)、「全力でアナウンサーしています。」(文藝春秋)がある。

赤塚不二夫<前編>「モテるけど…タモリにはかなわない」

公開日: 更新日:

 天才バカボンの物語で、消火後の火災現場にバカボンのパパがやってきて家族がさめざめと泣いている中「君たち、それでトイレも焼けたのか?」。母親が「はい」と答えると、「これが、本当のヤケクソなのだ」と去って行く場面があった。

「喜劇と悲劇は背中合わせ」。最悪な事態を笑いにかえる術は今でも明石家さんまビートたけしがやっているのだが、赤塚先生は当時から漫画でやっていた。少年マガジンの「悪役」五十嵐編集長が出てきて暴れたり、突然ページいっぱいにパパが指をさし読者に話しかけるカットがあったり。面白いながらもシュールな実験がなされ、あたかもゴダールやトリュフォーのフランス映画の「ヌーベルバーグ」漫画版のようでもあった。

 僕が初めて赤塚先生に会ったのは30年ほど前。確か中落合の二階屋だったと思う。先輩のディレクターに連れて行かれたのだが、そこには漫画編集者、映画関係者、芸人の卵、テレビ関係者、構成作家、ライター、その他えたいの知れない人たちが、麻雀、将棋、囲碁、ゲーム等をテンデンバラバラにやっていた。有名になっていた赤塚一家出身のタモリさんと所ジョージさんはすでにいなかった。僕が先輩とカップ酒を飲みながら「人生ゲーム」をやっていると、いつの間にか緑茶ハイを手に持った赤塚先生がゲームを見ている。15分ほど経っただろうか……先生が、「おもしろいね~」としみじみ言う。そのうち去って行くのかと思うとそうでもない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    愛川ゆず季が告白「長男の自閉症を隠していたわけじゃない。でも言葉にすごくパンチがあって…」

    愛川ゆず季が告白「長男の自閉症を隠していたわけじゃない。でも言葉にすごくパンチがあって…」

  2. 2
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  3. 3
    中居正広「脱SMAP」成功の裏に“懐刀芸人”あり 自身が仕切る番組の「裏回し」任せ巧みに延命

    中居正広「脱SMAP」成功の裏に“懐刀芸人”あり 自身が仕切る番組の「裏回し」任せ巧みに延命

  4. 4
    愛川ゆず季が2歳で長男の自閉スペクトラム症を確信した“逆さバイバイ” ネット検索で不安のループに…

    愛川ゆず季が2歳で長男の自閉スペクトラム症を確信した“逆さバイバイ” ネット検索で不安のループに…

  5. 5
    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  1. 6
    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

  2. 7
    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉

    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉会員限定記事

  3. 8
    松井稼頭央監督とは対照的…西武“連勝”渡辺監督代行が見せた「芯ある采配」

    松井稼頭央監督とは対照的…西武“連勝”渡辺監督代行が見せた「芯ある采配」

  4. 9
    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  5. 10
    “超ハイスペ外国人芸人”アイクぬわら 共演未成年少女「自宅連れ込み」で芸能界から退場か

    “超ハイスペ外国人芸人”アイクぬわら 共演未成年少女「自宅連れ込み」で芸能界から退場か