影山貴彦
著者のコラム一覧
影山貴彦同志社女子大教授

▽かげやま・たかひこ 同志社女子大学学芸学部メディア創造学科教授。1962年、岡山県生まれ。早大政経学部卒。86年に毎日放送入社、「MBSヤングタウン」ほかテレビとラジオの番組を手掛ける。ABCラジオ番組審議会委員長、GAORA番組審議会副委員長、日本笑い学会理事。著書に「テレビドラマでわかる平成社会風俗史」(実業之日本社)、「おっさん力」(PHP研究所)、「テレビのゆくえ」(世界思想社)など。

吉本は政権と蜜月 笑いを生業とする企業は一線を画すべき

公開日: 更新日:

 あの吉本興業の直営劇場なんばグランド花月(NGK)が2日から休演したことは関西人にとって衝撃的な出来事だった。NGKは1995年の阪神・淡路大震災のときですら、震災のあった17日だけ休演し、翌18日からは通常通り営業していた。当時、大阪や京都は神戸、淡路島などに比べると、まだ比較的被害が少ない方だったこともあるが、関西人は「ドケチのケチモトらしいなぁ、商魂たくましい」などと言いながら“お笑いで関西を元気づける”というスタンスを貫いた吉本興業を誇らしく思っていた。安全面に配慮しなければいけないことは確かだが、今回の新型コロナ対策に関してはあっさり従ってしまったことに業界内外の人が驚いた。

「国から圧力あったんちゃうか?」と思うのは関西人だけではない。吉本が阪神・淡路大震災のときの対応は間違っていた、だから今回は小屋を閉めます、というのなら納得がいくが、そうでもない。2019年4月、安倍首相が吉本新喜劇に「経済に詳しい友人」という役どころで飛び入り出演し、G20への協力を呼びかけたことは象徴的。他にも闇営業問題で話題になったクールジャパン機構の100億円融資、地方自治体と関係性を深めたイベントの開催、沖縄国際映画祭は沖縄カジノ利権参入を狙っていると地元紙で報じられていたり、中国でのエンタメ人材育成の学校設立が安倍首相の訪中後に決まったり、安倍首相との蜜月を感じざるを得ない事柄が続々。権力との距離を近づけていることと無関係とは思えない。

最新の芸能記事

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1
    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

    元横綱・白鵬に「伊勢ケ浜部屋移籍案」急浮上で心配な横綱・照ノ富士との壮絶因縁

  2. 2
    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った

    スッカラカンになって帰国のはずが…ラスベガスのカジノで勝った会員限定記事

  3. 3
    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

    西武激震!「松井監督休養、渡辺GM現場復帰」の舞台裏 開幕前から両者には“亀裂”が生じていた

  4. 4
    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

    なぜ15大会のスポンサー企業は日本女子プロゴルフ協会に“抗議文”を送ったのか

  5. 5
    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

    1場所4人じゃ終わらない…元横綱白鵬の旧宮城野部屋勢“廃業ラッシュ”はこれからだ

  1. 6
    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  2. 7
    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉

    石原裕次郎(13)慶応病院に入院…同乗したエレベーターを降りる際に掛けられた言葉会員限定記事

  3. 8
    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

    ミス・インターナショナル 特派員協会で「涙の訴え」のワケ

  4. 9
    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた

    (26)第3作「男はつらいよ フーテンの寅」では寅さんを地面に叩きつけた会員限定記事

  5. 10
    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」

    元衆院議員・若狭勝氏は女帝と断絶して7年「今は本当に幸せ」