巨人森監督誕生なら打撃コーチは張本勲だった

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 マシンガン打線の横浜(現DeNA)が優勝した98年。前年4位の巨人はAクラスこそ確保したものの3位に終わり、2年連続で優勝を逃した。3年契約の最終年だった長嶋監督は8月19日、渡辺恒雄オーナー(当時)と会談。成績不振の責任を取って退任を申し出ていた。一度、巨人はこれを了承。9月初め、「長嶋監督勇退、巨人来季監督に森祇晶氏決定」の報道が流れた。森氏は86年から94年まで、西武の監督としてリーグ優勝8回、日本一6回。巨人はチームの再建をこの「常勝監督」に託すはずだった。

 内定していた「森巨人監督」がご破算になったのは、長嶋監督や有力な巨人OBの強い反発があったからだといわれているが、当時の森氏は悲願の巨人監督のために着々と準備を進めていた。

 西武で常勝監督となった森氏を支えた参謀役が黒江透修氏(円内)だった。森氏は巨人監督就任の際は黒江氏をヘッドコーチに迎えるはずだった。

「私はダイエー(現ソフトバンク)監督の王(貞治)さんに呼ばれて、98年から助監督として福岡に行きました。その前年は森さんと同じく評論家でした。ある日オリックス戦が行われる神戸で森さんから『おい黒、おまえ、またチャンスがあったらユニホームを着る気があるか。もしどこかの球団から話があったらオレに言ってくれんか。すぐに返事をするなよ』と言われたのです。その年のオフ、王さんから誘われたので森さんに連絡すると、『会ってもいいけど、すぐに返事をするなよ』と言われました。おそらくその頃は巨人ではなく、横浜から監督の要請があったのではないか」

 黒江氏がダイエー助監督としてスタートを切った98年の夏。再び森氏から電話があり、こんなやりとりをしたという。

「黒、ダイエーとは何年契約だ?」

「2年です」

「何で1年契約にしなかったんだ!」

「そんなこと言っても、王さんも2年ですから、黒江さんも2年でお願いしますと、言われたんです」

「そうか……」

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