“黒い霧事件”知る評論家 元検察官の熊崎コミッショナーに懸念
「こんなことが起きれば、野球くじなんて絶対に実現できませんよ」
こう語るのは、プロ野球経営評論家の坂井保之氏だ。
坂井氏は1970年前後に社会を揺るがせたプロ野球の八百長事件(黒い霧事件)により、ボロボロになった西鉄の後を継いだ太平洋クラブ(現西武)で球団代表に就任。プロ野球界に巣くう暴力団と野球賭博の実態を今年7月、日刊ゲンダイに連載した。坂井氏はその中で「野球を賭けの対象にすることには賛成できない」と述べ、超党派の国会議員で実現を目指す野球くじの構想に異論を唱えた。
巨人の福田聡志投手(32)が野球の賭博行為に関与した疑いを指摘された一件に関して坂井氏は、「野球くじの構想がつぶれる程度の話では済まない」と、こう続ける。
「巨人や球界は、福田という一選手の問題としてとどめようとしているのかもしれませんが、野球賭博というのは、胴元が仲介人を使い、大勢の人に賭けさせて儲けるもの。胴元は損せず、必ず儲かることになっている。そのために選手に八百長を持ちかけ、試合をコントロールしていたのが<黒い霧事件>です。今回の事件の真相はわかりませんが、賭博は組織的に行われていたはずです。熊崎コミッショナーは元検察官、元東京地検特捜部長なのですから、あらゆる人脈を使ってでも徹底的に事実を究明するべきです。もし事実を少しでも隠蔽するようなことがあれば、マスコミに好き放題書かれるでしょうし、ファンの信用をますます失うことになる。今のコミッショナーはこういう大きな事件に対して適切に対応できるのか。その点が懸念されます」