福士加代子に「名古屋出るな」 日本陸連“異例要望”の本音
先を見据えた「決断」だ。
日本陸連の麻場一徳強化委員長は21日、1月の大阪国際女子マラソンに優勝した福士加代子(33)に、事実上のリオ五輪キップを出した。
福士は大阪国際で設定記録の2時間22分30秒を切ったが、代表選考は3月13日の名古屋ウィメンズが終わってから行われるため、陸連から「代表内定」が出ていない。名古屋で好記録を出した選手に、残る2枚の切符を持っていかれたらたまらない。所属チームの永山監督は、ムチャを承知で福士を名古屋ウィメンズにエントリーしていたのだ。
しかし陸連はここにきて、「(福士は)名古屋に出ることは避けてもらいたい。メダルを狙える水準に達している。(五輪まで)盤石なプロセスを踏んでほしい」と、要望。「(レースの)出場は避けて」ということは、代表内定を出したも同然だ。
陸連が福士に対し、「名古屋を走るな」と異例の要望を出したのは、約1カ月半の間に2度も選考レースを走ることによる故障のリスクや、その際の責任問題を恐れてのことだろうが、それだけじゃない。名古屋ウィメンズという大会は、毎年参加者が多数のギネス記録を更新している。昨年は1万7846人もの女性が参加したのは、コースのアップダウンが非常に少なく、走りやすいからだ。大会ホームページにも、「マラソン初心者でも十分完走できる大会」とあり、昨年の完走率は96.6%と明記されている。