ハンマー室伏広治 2年ぶり復帰の裏に“恩人”JOC会長の危機
「日本選手権出場に向けて、エントリーの手続きを踏んでいます」
アテネ五輪ハンマー投げ金メダルの室伏広治(41)が力強く言った。
24日に行われた日本陸連の理事会に出席後、6月に行われるリオ五輪選考会を兼ねた陸上日本選手権への出場を表明。室伏は14年の同大会を最後に、競技から離れていた。本来ならば出場資格はないものの、陸連の強化委員会の推薦があれば、それもクリアできる。正式に認められれば、実に2年ぶりの実戦復帰だ。
しかし、なぜこのタイミングなのか。室伏はこれまで日本選手権の出場について、態度を保留し続けていた。復帰理由として「熊本の震災を意識した。私の頑張りが被災地に伝わればいいなと思う」と話したが、熊本地震が起きたのは1カ月以上前の4月14日だ。室伏自身は熊本と縁もゆかりもない。それだけに、なおさらとってつけたような感が否めないのだ。
ある陸上関係者は「JOCの裏金疑惑が発覚した直後というのが気になる」と、こう続ける。
「20年東京五輪の招致活動に関連した裏金疑惑で、JOCの竹田恒和会長(68)が集中砲火を浴びている。発言が二転三転する上、『あれは必要なお金だった』と開き直る始末。室伏はそんな竹田会長に可愛がられている。JOCの理事になれたのも、竹田会長の影響力があってこそ。2人はアジア・オリンピック評議会でも一緒に仕事を行い、JOCの公式サイト上には両者の対談まで掲載されている。室伏にすれば、現在は恩人の危機。競技復帰のニュースを提供し、5大会連続の五輪出場を決めれば、世間やメディアの矛先を裏金疑惑からそらせると考えたのではないか」
室伏といえば、国内では知らない者がいないほどの知名度と人気を誇る。2年ぶりの復帰となれば、話題性も十分。少なくとも明るい材料にはなる。
遠くに放り投げるのはハンマーだけではなさそうだ。