ルーキー阿部が大逆転演出 中日“セ最下位”脱出に希望の光
「練習ではスタンドに入れるが、あれだけの長打力が右(方向)へあるとは思っていなかったな」
森監督代行を驚かせたのが、ルーキー阿部の一発だ。3点を追う八回、巨人2番手マシソンの156キロのストレートを強振するとライトスタンドギリギリに飛び込むプロ1号アーチ。「少し振り遅れたけど、しっかり振り切れた」という当たりにベンチは沸いた。
さらに阿部は1点差に迫った九回にも1死満塁から中堅へ同点犠飛を放ち、延長十一回のサヨナラ勝ちへつなげた。
岩手・一関一高出身。明大時代は広島・野村と同期。3年で三塁のレギュラーとなり、4年秋には15年ぶりのリーグ優勝に貢献。
広角に打ち分けるシュアな打撃と堅実なフィールディングが持ち味で、社会人ホンダからドラフト5位で入団した。12月には27歳になる。大企業のホンダから厳しいプロの世界へ飛び込むことに反対の声もあったが、夢にかけた。和田一浩から受け継いだ背番号5は、落合GMが評価して与えたもの。中日は最下位脱出に向けて頼りになる戦力が出てきた。