検察vs政界 経済事件記者の備忘録
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【金丸脱税事件】異聞(7)「逮捕」を告げられた金丸はがっくりし、ズボンがずり落ちかけた
「ワリシンお持ちですよね。金丸先生の分もありますよね」 前年に罰金処理され一件落着した5億円闇献金事件の関連での聴取と思い込んでいた生原の顔色が変わった。最初はしらを切ったが、特捜検事の吉田統…
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【金丸脱税事件】異聞(6)実は捜査は綱渡り「のるかそるかの博打だった。吉永さんなら止めていた」
金丸電撃逮捕で検察は威信を回復した。政官財関係者やマスコミの多くが、検察と国税当局がその気になったときの破壊力を再認識した。筆者もそのひとりだった。しかし実際の捜査は、綱渡りの連続だった。 …
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【金丸脱税事件】異聞(5)徹底された情報管理 政権や与党からの「介入」もなかった
石川が中島に何を耳打ちしたか、が気になっていた。後日、中島に耳打ちされた内容を尋ねた。「『明日、動きがありますから、東京にいてください』だけだったですね」。 返す刀で石川にも確認した。 …
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【金丸脱税事件】異聞(4)逮捕前夜、検察幹部の官邸幹部への耳打ちを目撃し「何かある」
恥を忍んで告白すると、朝日新聞社会部の遊軍記者だった筆者も、検察に出し抜かれた記者のひとりだ。逮捕前日の5日夜、正確にいうと6日未明まで、金丸捜査を最高検検事として指揮していた石川達紘(名古屋高検検…
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【金丸脱税事件】異聞(3)検察始まって以来のピンチ救った盟友の国税
特捜部が発表した被疑事実の概要は、金丸は生原と共謀し、雑所得となるべき収入を除外して簿外資産を蓄積するなどの方法により所得を秘匿した上、虚偽過少の所得税確定申告書を税務署に提出し昭和62年分と平成元…
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【金丸脱税事件】異聞(2)逮捕容疑は耳慣れない割引債を使った所得隠し
「金丸さんと生原さんを逮捕しました」 午後8時50分、東京・霞が関の検察合同庁舎11階の会見室で、スポークスマン役の東京地検次席検事、高橋武生が淡々とした声で切り出すと、詰めかけた記者からはど…
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【金丸脱税事件】異聞(1)「政界のドン」逮捕は「青天の霹靂」だった
戦後日本の繁栄を支えた護送船団システム。その崩壊の引き金にもなった一連の金丸事件から6日で30年。いまだ、多くの謎に包まれている一連の事件の舞台裏を、取材メモや非開示の捜査資料、関係者の証言で検証す…